【テレビ】2019紅白歌合戦視聴データ検証

データでみる“最低紅白”の真相〜ワースト断定は早計だが改善の道は見えた!〜
鈴木祐司 | 次世代メディア研究所長/メディアアナリスト/津田塾大学研究員
1/5(日) 11:11
https://news.yahoo.co.jp/byline/suzukiyuji/20200105-00157705/

全体接触率推移
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2部接触率推移
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メディアスイッチラボ視聴率
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歌唱パート流出率
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MCパート流出率
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世帯視聴率が“史上最低”とされた『第70回NHK紅白歌合戦』。
ビデオリサーチ(VR)のデータが発表された後、同番組を批判する記事がたくさん出た。しかし統計データは誤差がつきもの。
しかも今や、テレビ番組の視聴データは複数ある。
これらを見比べると、単純に去年の紅白がワーストだったとは言い切れない。
もちろんデータは、課題も浮き彫りにしている。
“史上最低”とされた紅白の真相に迫ってみた。

視聴データによる位置づけ
VRは1月2日、年末年始の世帯視聴率を発表した。
これによると『第70回NHK紅白歌合戦』第2部は37.3%。2部制になった1989年以降で最低の値だった。
ただし1部の34.7%は、過去に30%強が何度もあるので、史上最低ではない。
これを受けて、今回の出来を批判する記事がたくさん出た。

「ヤマ場が少ない」
「サプライズ感に乏しい」
「まとまりと決定力に欠けた」
「リハから欠けていた高揚感」

紅白放送の翌日に発言するならまだしも、視聴率が判明してから鬼の首をとったように言うのは、「なんだかなあ」って気もしないでもない。
中には「初期のころのように、純粋な歌合戦で勝負するべき」と、何を根拠に個人の主観を述べているのか、首をかしげたくなるような極論も散見された。
そもそも近年の紅白2部は、それまで4回が40%前後で、今回3%ほど下がったからと言って大騒ぎすべき出来事なのか。
視聴率調査を行うVR自身も、40%の番組の誤差は±3.3%と明言している(視聴率をご覧いただくときの注意事項)。
例えば15年2部は、36〜42%のどこかだ。19年は34〜40%のどこか。15年より下だったかも知れないし、逆に上だった可能性も残っている。

また近年は、多様な視聴データが登場している。
スイッチ・メディア・ラボ(SML)は、関東地区でVRより2倍以上のサンプルで、世帯視聴率や属性別の個人視聴率を測定している。
これによると、世帯も個人も18年紅白に負けているものの、15〜17年より高い。
サンプルの集め方などが異なるので単純に比較できないが、VRのデータだけで最低と決めつけるのは、短絡的過ぎるだろう。
ちなみに「世帯が下がったのは、若い出演者が増え、紅白の主な視聴者である60歳以上がついていけなかったから」旨の批判もあった。
ところがSMLのデータを見ると、3−層(男女50〜64歳)も3+層(65歳以上)も、18年には及ばないが、14〜17年比では同等あるいは上を行く。
「キャスティングが高齢者を排除した」とは、安易には断定できないのである。

>>2以降に続く