【意見】藤井聡氏が語ったデフレ脱却への打開策…麻生氏切り

オリンピックイヤーの2020年、日本経済はどう動くのか−。市民生活、社会保障の足場は固められるのか。

第2次安倍内閣内閣官房参与を務めた藤井聡氏(51=京都大学大学院教授)は厳しい状況に陥る可能性を指摘する。昨年10月に消費税が10%に増税されたことの悪影響が逆風として吹き荒れることを予測。かつて安倍政権のブレーンとして経済政策を支えてきた藤井氏が、デフレ脱却へ向けて打開策を示した。【聞き手=大上悟】

東京五輪パラリンピックイヤーの日本経済はどのように推移しますか

「非常に厳しい年になるのは間違いないでしょう。第1に消費増税の影響が深刻化する。第2に内需、外需の環境も良好な方向を見いだしがたい。しかもオリンピックのインフラ投資は終わり、内需も外需もだめになり、悲惨な状況となります」

−2%の消費増税は具体的にどのような影響を与えたのでしょうか

「経済のへこみ方が、前回8%に上がった2014年増税よりもひどい。14年は3%アップで今回は2%だけのアップ。しかも今回は軽減税率を導入していて食料品などが増税されないし、ポイント還元なども含めて14年時より、かなりの消費増税対策をやっている。にもかかわらず、小売りは7・1%縮小、実質消費も5・1%縮小と14年増税時をはるかに上回っている。極端に悪いのが工業分野。機械器具が増税後に小売りは15%縮小し、自動車も同17%減った。日本工作機械工業会によると工作機械の受注額が37・9%も減った」

「はっきり言って『経済クラッシュ』の状況です。14年増税時も景気は冷え込んだが、今回はそれをさらに上回る冷え込みを中長期的にもたらすだろう」

−10%への増税は決定打。前回8%増税とどう違うのでしょうか

「予想されていた結果です。14年は外需=輸出が伸びている時期だったから。消費増税による内需の縮小分を輸出増が埋め合わせた。しかし今回は外需が冷え込みつつある時の増税だから、見るも無残な結果になることは決定的です。しかも、消費税率が「10%」という極端に計算しやすい数字になったため、消費者の買い控えを大きく助長する。これが、さらなる消費縮小をもたらす」

−政府は26兆円規模の経済対策を打ち出します

「一番大切な中身は真水の補正予算なんですがたった4兆円台だから『張りぼて』のようなもので大したことはないんです」

−藤井さんが考えるカンフル剤はどんなものですか

「いくらでもやりようはあります。消費税を5%に減税し、10兆〜15兆円規模の補正予算を『デフレが脱却できるまで毎年続けます』とコミット(約束)すればいい。でも、安倍内閣の振る舞いを見ていれば120%しないでしょう。今のままなら安倍内閣がデフレ脱却に成功することは絶対ありえない。安倍内閣財務省麻生太郎さん(副総理兼財務大臣)の顔色をうかがっている限り、デフレ脱却はない。つまり、国民を取るか麻生を取るかで今、選ばれているのは麻生であり、国民は見捨てられている状況です。安倍内閣がデフレ脱却したいのなら、麻生さんに退陣していただき、超積極財政を展開するしかない」

−安倍首相は2012年(平24)12月の再登板以降、経済再生に重点を置いてきたのではないですか

「実はアベノミクスは実行を伴っていないんです。アベノミクスは元来が金融政策よりも財政政策をやるということだったのですが実際には財政政策は、まったくやっていない。消費増税で5%の時よりも15兆円ずつお金をバキュームカーのように国民から吸い上げてきた。毎年『逆補正予算』を打っているようなもの。僕は5%の時から15兆円の補正予算を3年程度はやるべきと言っていたが、あろうことか15兆円を投入するどころか逆に毎年吸い上げ続けている」

−れいわ新選組などが主張する「消費税5%」に戻した場合には

「ものすごく景気が良くなりますよ。15兆円の補正予算を効果的に打つのと一緒ですから。消費そのものが15兆円拡大します。その15兆円は財務省の懐に入るのではなく、国民の財布に入ります。お金がどんどん回っていくようになる。その上でさらに10兆〜15兆円規模の景気対策をやっていけば、2〜3年でデフレ脱却できます。それが唯一の政策だと理解している政治家はごく一部で大半の国民も理解していない。だからこういう記事を毎日毎日、買って読んでいただくと(笑い)状況も変わるかも知れないです」

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1/4(土) 8:00配信  全文はソース元で
日刊スポーツ
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